2010年02月26日

スタートレック新作映画のノベライズの翻訳(2)

ずいぶんと日にちが経ってしまいましたけれど、続きです。

スタートレック(新作の方)のノベライズの翻訳ですけれど、もっとも違和感を感じたシーンは、ウフーラがスポックに抗議するシーンです。

士官候補生であるカークやウフーラ達が、急遽配属先を割り当てられた際、ウフーラはUSSファラガットへの配属を命じられます。ウフーラは、自分がなぜ旗艦であるエンタープライズではなくファラガットなのかと、スポックに抗議をします。

ウフーラが、自分の成績が優秀なことをとうとうと並べ立てたあと...

「かつてない業績をあげているのは...」(JNZ注:スポックの言葉です)

相手が高い地位の上官だろうとおかまいなしに、彼女は手で制止せずに口だけで相手の言葉をさえぎった。

「四年ものあいだ過酷な訓練に耐えてきたのは、USSエンタープライズの乗組員になるという夢と目標があったからです。ご理解いただけますか?」

「大声でこの問題を繰り返しているのは、おそらくその点についての妄執があるからだろうな」 スポックは答えた。「きみの通信能力は、きみのクラスの生徒たちと同等と判断している」

ウフーラは一歩詰め寄った。スポック以外の者なら、それが威嚇だとわかっただろう。

「それでも、わたしはファラガットに赴任させられるのですか?」

日本語として会話が成立しているように思えません。

スポックの返事では、まるでウフーラは成績優秀でもなんでもなく、ただの平凡な生徒だと言わんばかりです。というか、そうとしか受け取れません。

それに対して最後のウフーラの言葉は、スポックが成績優秀と認めていることを受けてのものです。スポックがウフーラを凡才だと言っているならば、「それでも、わたしはファラガットに...」なんて繋がるわけがありません。なんとなれば成績優秀であるが故の抗議だからです。

翻訳をしていて、変だと思わなかったんでしょうか。

ここはスポックの返答かウフーラの最後の抗議のどちらかが間違っているのです。映画でのやりとりで同じ言葉は出てきませんが、見ている限りではスポックの返答がおかしそうです。

もしかしたら、こういう解釈もあるかもしれません。
スポックはウフーラの業績を認めず、ウフーラを平凡な生徒だと言っている。それを無視してウフーラは抗議を続けたのだ。「それでも」という言葉はスポックの返答にかかっているのではなく、その前のウフーラの抗議の続きなのだと。

でも、論理的で嘘をつかないという設定のヴァルカン人(半分だけど)であるスポックが、ウフーラの具体的な業績を分かっていながら平凡な生徒だなどと言うでしょうか?とても考えられる話ではありません。

ということで、原書にあたるしかなさそうです。
(続く)

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