2011年03月29日

東日本大地震(2)

福島の原発事故が長期化しています。原発についても放射能についても、ある程度の知識は持ち合わせていますが、ブログに何か書いて発信するほどの自信はないので、違う観点から。

すべての会見を見ているわけではないのですが、どうも記者会見を見ていると、顧客(国民)に対する安心感の持たせ方が下手だなあという印象があります。何か問題が発生したとき、説明の仕方ひとつで、顧客の安心感はだいぶ変わります。当たり前のことですが。

自分も、曲がりなりにもプロジェクトマネージャなどというアコギな商売をしているので、まあ多少のトラブルの経験は持ちわせています(こんな深刻なのはないけどね)。

トラブルが発生したときの対処は現象から原因を推測・特定して対策をとるのが基本ですが、当然のことながら適宜顧客に報告することになるわけです。そのときに「トラブルが発生しました。現象はこうです、でも問題ありません」なんて報告をしたら、普通は顧客から怒鳴られます。何でそんな現象が出るのか?どうするつもりなのか?問題がないという根拠は?今後はどうなるのか?当然の疑問です。プロジェクト側からは明らかなことであっても顧客は素人なのですから、一を聞いて十を知るなんてことは期待してはいけません。

今の政府や東電・保安院の発表は、まさにこの状態。これで安心しろというのは無理な相談です。

少なくとも、

「こういう現象が発生した。その原因としては調査中だが、こういう(複数の)ケースが考えられる。原因を特定するために、こういう調査を行う、もしもこれが原因の場合はこういう対処策が必要。結果としてこうなるはず」

というくらいの説明は必要でしょう。原因が特定されたならば

「こういう理由からこの対処策が一番有効、ただし失敗するリスク要因としてはこういうことがあって、失敗した場合は次善策としてこういう対処策を用意している」

くらいの説明があると安心できます。説明の内容が難しくて分らなくても、先を読んで対応を考えていることは明確に伝わります。そういう感覚が大事。

たぶん現場はそのくらいのことは考えているはずです。プロですから。でも、いま政府や東電が発表している内容では、後追いで対策を考えているような印象しか伝わりません。顧客マネージメントとしては最悪です。

すでにトラブルが起こっているのですから、顧客満足度は下がっています。でもその後の対処次第で、場合によってはトラブル前よりも満足度が上がることもあるのです。それは顧客マネージメントの腕次第。プロジェクトマネージャーの腕次第なのです。その認識が決定的に欠けているなあ、と思いながら会見を聞いています。

ついでに書くと、会見って一元化できませんかねえ。せめて政府(管理者)と東電(技術者)の2本かなあ。原子力安全・保安院のはいらないかもね。窓口が多ければ多いほど顧客は混乱するんですが。

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